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日本晴れ日曜日-4 [アートな時間]

gureko.jpg
「飛騨の円空」のあと、友達は「エル・グレコ展」も見るという。
私は美術展のハシゴはしない主義なんだけど、つきあうとしますか。

会場に入るとそこは、エル・グレコの肖像画家としての側面を紹介する部屋でした。
エル・グレコの自画像、美貌の女性、若い修道士などなど。いきいきした表情。祭壇画のエル・グレコとはだいぶおもむきがちがい、筆づかいは丁寧、こまやか。
とくに印象的だったのは、白い法衣に十字架をつけた男の肖像。説明に、本人の死後に描かれた、とあります。
えっ? 今にも動きだしそうどころか、声が聞こえるような存在感です。 
じつは、生前に別の画家が描いた肖像があり、エル・グレコはそれを見て描いたと、参考出品としてもとの絵が並べて展示してありました。
もとの絵もしっかり描いてあると思いますが、エル・グレコの描く表情の微妙さ。サリエリとモーツアルトの違いだね。
人物の視線が不思議です。左右の目の視線の方向がわずかにずれています。
ほかの肖像画にも、そんな視線がありました。
これが、今にも動きだしそうな印象を作っているのかな?

さて宗教画です。
受胎告知2点のうち、1点のマリア。その辺にいそうな、普通の健康的な女の子。若描きでしょうか。
「そんなこといわれても、困るわ」という顔つき。気持、わかる。

祭壇用の大きい絵は、奇妙に白い肌、粗いタッチ、強調された明暗、引き伸ばされた人体。
見る人は少し離れて見上げること、照明はほの暗い蝋燭の灯り。それを計算に入れての表現でしょうから、天井の低い展示室で見ると、うーん、なんだかなぁ。
ジャン・コクトオに「グレコ」という詩があります。その、最初の4行。(堀口大學訳)
    水の中で死んだ蛙よ
    私は君を醜いと思ひ得るであらうか?
    トレドの画家が描いた若者たちも
    脚はふやけて居り、指はひらいてゐる。
実際はどんな位置で、どんな光線で見られていたか、レプリカでいいから、わかる展示もあればいいと思います。
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