SSブログ

また ある日の銀座-2 [アートな時間]

ginnza-hujita.jpg
異空間写落さんのグループ展会場を出て、さて…7丁目あたりを漫然と歩いていると、
あらっ! フジタさん[わーい(嬉しい顔)]
ギャルリーためながという、大きな画廊。「藤田嗣治展」と大書した幟がはためいています。
日頃は敷居の高い世界ですが、これなら通りがかりの者が入ってもよさそうですね。
大きなガラスのドアを押すと、なんと、フジタの少女像と若い女性の像が何十点も。うわああ、ここは宝島か?
淡彩のもの、線と陰影だけのもの。大部分は完成された作品、スケッチとわかるものも一部あります。パステルの少女像もありました。油彩はありません。
どれも立派な額に入っていますが、ガラスなし。照明は充分明るく、30センチの距離から自由に眺められます。
フジタの少女像はみな非常に額が広く、猫のような丸い目を見張っています。ツンと澄ました表情は見る者を寄せつけない感じ。不思議なのはその手の形で、ぶよぶよし、ねじくれています。少女とは別個の意志をもった軟体動物のようです。
異様さが心のなかでチクチクするものの、髪の毛ほどの線の、なんという確実さ。最小限の影が作りだす、豊かな立体感。ほれぼれ、うっとり。1枚1枚丁寧に見てまわりました。
そこへ画廊の人が、高さ140㎝・幅は襖3枚ほどもあるボール箱を運んできました。箱からずるずると引きだした絵は、ビュッフェの大作[がく~(落胆した顔)]。無造作にフジタの額のある壁に立てかけていってしまいました。
画廊にきたお得意さんに見せるためだったらしい。私は偶然のお相伴。
まちがいなく、ここは宝島だ。
しかし、繊細にして華麗なフジタの線を見た眼には、ビュッフェは荒々しいばかりで、好きになれませんでした。
どこかで話し声がします。「これ、売るの?」
「はい、すべて」
フジタのコレクターか、その遺族が、手放すことにしたのでしょうか。
事情はともあれ、堪能しました。
棚からぼた餅でした。
nice!(4)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 8

さゆり

お恥ずかしいことに、藤田嗣治の作品は、代表作の数品しか知りません。映子先生、最高のプレゼントでしたね。
by さゆり (2013-03-06 19:23) 

tree2

会期は5月6日までだそうなので、銀座に出る機会があったらまた訪ねてしまいそうです。
これほどまでに線と陰影の美しさに魅了されたのは、ほかに、長谷川潔を知るのみです。

by tree2 (2013-03-07 23:40) 

さゆり

ああ、5月6日まで開かれているなら、私も画廊にお邪魔できますね。でも、入る勇気ないかも。ウィンドーから覗きますか。
by さゆり (2013-03-08 07:27) 

tree2

ご一緒しませんか?
by tree2 (2013-03-08 11:02) 

さゆり

はい、今回は銀座でコーヒーを。母も一緒にお邪魔しようかな。詳しくはメールをお送りします。
by さゆり (2013-03-10 15:34) 

tree2

「ギャルリーためなが」は、銀座7-5-4です。
和光の裏(4丁目)になかなかいい喫茶店を見つけたのですけれど、
2階(階段は歩きやすい)です。
ちょっと遠いかな?
ギャルリーためながの近くにも、むろんいろいろありますが、入ったことがなくて。
コーヒー専門店なら、中央通りをはさんで、カフェ・ド・ランブルがあります。

by tree2 (2013-03-10 23:58) 

あかい。

イヤー、夢を見ちゃいました!
娘に買おうと思ったら、780諭吉だそうで、値引きが650諭吉。
いつも絵を描いている娘が喜ぶと思ったものの、
娘は、書道が好きと言ってから、ばっかじゃないと笑われました。銀行が動いたので、別のものを買うことになりました。人生ゲームみたいです。
by あかい。 (2013-03-14 13:17) 

tree2

私も、しんそこほしいと思ったものを夢に見たことがあります。
李朝の、白磁の香炉。手のひらに包めるほどの小さなものですが、
きりりとした造形に一目惚れ。
一晩に3度、香炉の夢を見て、翌朝、「買います」といいにいったら、
すでに売れていたというではありませんか。
「売れちゃったものは、印もつけないで展示するなっ!」
あのときくらい口惜しかったことはありません。
いまでも口惜しい。
by tree2 (2013-03-14 14:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。