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ヒートグラフというアート [アートな時間]

2011morino.JPG
大学の同窓生、森野真弓さん。銅板画の作家と思っていたら、突如、みずから考案した「ヒートグラフ」という手法で巨大な作品を発表しはじめました。
今回の個展はその中でも最大の作品。縦2m、長さ24m。紀伊国屋画廊の壁面をほぼ全面使ってしまう大きさ。素材は工業用の白いフェルト。これに溶かした蜜蝋を垂らし、バーナーの炎で焼いて焦がす。ところどころ焼けて穴があく。大変な作業ですねー。
作者の説明では、雨が降って、流れて、川になり、海に流れこむ。そういうストーリーを表現したそうです。
水の流転を炎で描いたわけね、イキなもんだ。
「制作、吊しておこなうの? それとも床の上で?」
「床においてやる」
「床を燃やさないようになにかで保護するんでしょ」
「平気だよ、焦がすだけだから。ベニヤ板を敷くだけ」
「どんな広さのところで作ってる?」
「アトリエに全部はひろげられないからさ、作業していないところは捲いて、部分的に作る。済んだところをデジカメで撮っておいて、関連を確かめながらね。
アトリエの床をシロアリが食っててさ、シロアリは端の方から食うんだよ。だから部屋の隅はボコボコ、うっかりすると踏み抜きそう。あるとき、女王が外にごろんと転がっていた。それからシロアリはいなくなったようだね。
シロアリは火が怖いんだろうね」
フェルトが焦げるニオイはすごいだろうし、シロアリだって見放すでしょうよ。
立派! 芸術家はこうでなくっちゃ。
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コメント 4

くーぷらん

これは実物を見てみたいです。写真から迫力が伝わってきます。
by くーぷらん (2011-01-11 22:34) 

tree2

nice!いくつも、ありがとうございます。

森野さん、以前はエッチングで、帽子やネクタイをモチーフに連作を発表していました。「帽子とネクタイ…フロイトの読み過ぎじゃないの?」と、からかっていたものです。
ヒートグラフには熔解と焼成があります、錬金術みたい。森野さん、フロイトからユングに進化したらしい。
以前の作品、どこかの美術館でコレクションに入っているのを偶然見たことがありますが、今回は24mの大作、その行方が気になります。
by tree2 (2011-01-12 00:50) 

さゆり

凄い話ですね。ダイナミックな仕事ぶりが想像出来ます。確かに匂いも強いでしょうから、アリが逃げるのは当然。
日光の日程を書き忘れたような気がします。失礼しました。10月4日の午前中から6日の午後までです。4日のお昼頃成田空港から日光に入り、6日の午後新宿フォールムに着きます。
by さゆり (2011-01-13 01:21) 

tree2

さゆりさま
10月4日からですね、さっそくカレンダーに書き込みました。
皆さまとご一緒の秋の日光、楽しみです。
by tree2 (2011-01-13 11:45) 

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